薬局薬剤師として働き始めて8年目。転職も3回して、店舗移動やヘルプなど含めて10店舗くらいの薬局で働きました。
今回はこの経験を中学生や高校生、すでに薬学部に入った人に薬剤師は実際どんな仕事をしているのか、どれくらいの年収があるのか、どんな人に向いているのかなど、個人的な意見を入れながら話していければと思います。
年収

一番気になる所かと思います。色々なサイトにも載っていますが令和5年の薬剤師の平均年収は約570万円くらいになっています。
平均なので男女差があったり、病院やドラッグストアなど働いている職種や地域でも年収は変わります。
私の場合だと、関西圏の薬局で働いていて初任給が月27万円、手取りだと22万4000円でした。ちなみにこれは関西圏でも最低額レベルの初任給です。
8年目の現在は具体的には言いませんが、管理薬剤師というポジションで、先程お伝えした平均年収と同じくらい貰っています。
サラリーマンの平均年収が460万と言われているため少し多めに貰っているなと思っています。
しかし、学校に払う学費が半端なく高いのです。
薬学部は6年制なので、普通の学生より2年長く学費を払います。6年間の授業料は国立で350万ほどですが、私立だと跳ね上がり1000〜1200万円かかります。
もちろん学費の他に通学代や教科書代などは別途かかるため、それを考えると平均年収570万円は割にあっているかは分からないですね。
大きく3つに分かれる就職先
薬剤師の大半はドラッグストア、病院、薬局に就職する事になります。年収は皆同じ訳ではなく意外に格差があります。
一応他にも医薬品関連の企業や製薬会社のMR、薬学部の先生になる方もおられますが、ごく稀です。
ドラッグストア

3つの選択肢の中で一番給料がいい傾向があります。ドラッグストアは大手が多く、全国にドラッグストアがあるため地方配属を望むと更に給料が増加します。
私はドラッグストアで働いたことが無いため、友達から聞いた話を参考にお伝えします。
他の選択肢と大きく違う点は、客に商品を売り込む必要がある点です。
病院も調剤薬局も患者さんが来てくれるのを待つ受身状態ですが、ドラッグストアでは積極的に自社商品を買って貰うよう営業をする事になるみたいですね。
ただし、ドラッグストアにも調剤室と言うところがあり調剤薬局と働き方が変わらないところもあるようなので会社ごとの方針で変わるみたいです。
病院

調剤薬局よりも薬の量が多い事が多く、特に注射薬や抗がん剤は病院勤務でないとなかなか触る事は少ないです。
広い薬の知識を身につけることができるため、薬剤師としての専門性を追求したい方や医者や看護師との連携に興味がある方にオススメです。
ただし他の選択肢と比べて給料が低い傾向にあります。
調剤薬局と比べて患者の容態が悪いためやる事が多く、かつ薬局より給料が安いため病院薬剤師の就職率は低いです。
薬局

就職先ナンバーワンの選択肢で、私も調剤薬局で働いています。
給料面で言えば病院とドラッグストアの中間に位置している事が多く、無難な選択肢ですね。
調剤薬局は圧倒的な店舗数をほこり、ドラッグストアが2万5000店舗くらいあるのに対して調剤薬局は6万店舗を超えます。
コンビニよりも店舗数が多いと聞くと、何となく分かっていただけるんじゃないかと思います。
なので、家から通える距離にいくつも薬局がある事が多いのが利点です。
悪い点を挙げるとすると、閉鎖空間になりやすい事です。
もの凄く繁盛している大型店を除き、店舗には薬剤師2〜3人+パートの少人数で仕事をします。
なので、もし苦手な人や意地悪をする人が一緒にいても高確率で顔を合わせる事になります。
薬局での仕事内容
「病院で待たされて、更に薬局でもこんなに待つのかよ。早くしろよ」と思っている方が多いと思いますが、意外にもやる事が多くすぐに薬を渡す事ができません。
実際、薬剤師はどの様な仕事をしているのか簡単に説明します。
調剤
「薬剤師なんか薬を揃えるだけだろ」の仕事がこれにあたります。
処方箋をみながら錠剤を取ってきたり、水薬、粉薬、軟膏などの塗り薬を混ぜて作るのも調剤です。

調剤で一番時間がかかる仕事は、一包化と呼ばれる薬を1つの袋にまとめる方法です。
私の薬局で重い患者さんの例をあげると、10種類の薬を飲んでいる方で60日分の薬が出ています。朝だけ飲む場合は60錠ですが、毎食後だと180錠用意することになります。

この調子で全部で1500錠くらい集めた後、全ての錠剤を取り出して一つずつこんな感じの機械に入れていきます。
この後一包ずつちゃんと薬が入っているか確認しているとだいたい60〜90分くらいかかります。
この作業をしていると患者さんを待たせる事になります。
監査
yakugakulabから引用
一番薬剤師としての真価を発揮するのがこの仕事です。凄く簡単に言うと間違い探しをする作業です。
一つは患者さんから貰った処方箋と、医療事務さんが入力したものが間違っていないか、別の薬剤師が取ってきた薬が間違っていないかを照らし合わせる作業です。
もう一つは、出された薬が飲んでいる薬と相互作用しないかなど確認する作業です。
具体例をあげると、解熱鎮痛剤のロキソニンが出ていたとします。
- 子供のインフルエンザにロキソニンが出ていたら、禁忌ではないけどインフルエンザ脳症になるかもだから確認しないといけない。
- 胃薬障害の副作用があるから、頓服で出ていたら食後服用をオススメしよう。
- アスピリン喘息の既往歴はあるか確認する。
- 妊婦かどうか、妊婦なら妊娠後期か確認する。
- そもそも処方箋が間違ってないか、用法確認
などを、患者さんの初回アンケートや過去の聞き取りなどを見て判断しています。
これだけ見ると難しそうに見えますが、これらの条件に当てはまる人はほぼいません。病院の先生が先に確認してくれているからです。
なので、薬剤師は病院の先生や医療事務が通してきた書類の最終確認している仕事をしています。
投薬

薬が間違っていないか確認できたら、ここでやっと患者さんと対面します。
患者さんに薬の説明をしながら軽い聞き取りをします。
その後、今話した内容をカルテの様な物にまとめて患者1人分の仕事がおしまいになります。
薬局ではどんな人に向いている?
私の個人的な意見ですが
- 間違い探しが上手い人かつ、知識を大量に保持できる人。
- 働いている限りこの単純作業の連続してなので飽きが来ない人
- 閉鎖空間で働くため、人間関係でうまくできる人(例外として1人薬剤師の場合もあります。大手の薬局、ドラッグストアの調剤でありがち)
この辺りが苦手で無ければ楽しく働けると思いますよ。
逆に向いていない人で言うと死ぬほど勉強する事が嫌いな人にはオススメしません。
普通の人より2年多い学生生活と、1年に1回しかない、落ちたら来年まで薬剤師として働けない国家試験が待っているからですね。
苦労すること
このパートも私の個人的な意見をお話しします。
管理薬剤師が苦労する事。それは「薬がどんどん増えてアップデートしないといけないから覚えるのが大変!」と言う事…
と言うのは嘘で、本当にキツイのは法律です。
調剤報酬改定というものがあり、2年に一度のペースで法律が変わります。
もちろん全て新しくなる事はないですが、前と同じ事をしていても突然お金を貰えなくなったり、前より条件が厳しくなったりするため、お金を得るためには法律を頭に叩き込まないといけません。
薬学部を出ているので新しい薬を調べたり知識のアップデートは苦になりませんが、新しい法律について行くのは正直楽しくないですね。
薬剤師になって良かった事
悪い事ばかり書いてしまった気がしますが、良いことも勿論あります。
患者さんの症状が良くなって行く姿や、薬の説明をした後感謝されるとやってて良かったなと感じます。
残業は少ないところが多く、今まで働いていた薬局ではせいぜい1日30分もないです。経験上平均残業時間は月に3〜5時間が多く、忙しい月でも10時間も残業する事はありませんでした。
また就職、転職に強いため、給料や待遇などで会社に不満がある場合すぐ辞めれるのが利点です。
実際私は理不尽な職場移動を命令された日に辞表を叩きつけ、引き継ぎ期間+有給消化期間の1ヶ月の間に再就職しました。
給料面も、豪遊できるほど稼げるわけではないですがサラリーマンの平均年収より稼ぐ事ができるので手に職をつけたい方にはオススメできる職業です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
薬剤師は薬を取ってくるだけと揶揄される事がありますが、一応頭を使って考えていることが伝わっていれば良いなと思います。
今回は個人的な意見が多かったかも知れないので、参考程度にして下さいね。
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